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AVジャケットのつくり方

ここ最近、アダルト業界にいた時代のことを書いていなかったので、久々に書きたいと思います。今回は(当時の)AVジャケットのデザインフロー」についてです。

AVジャケットのデザインフロー

AVジャケットは印刷媒体になるので、通常のDTPデザインのフローに+αという感じで進行します。

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ジャケットの担当枚数は人にもよりますが、当時は月に7〜10枚程度。
私はWebの兼業していたこともあり5〜6枚くらいでしたが、ピークの時は13枚くらい。仕事がめちゃめちゃ早い先輩さんとかは20枚以上担当している方もいました。

ジャケットデザインは「指名制」

デザインの依頼は監督やプロデューサーさんから指名で行われていました(指名なしの場合もある)

指名といっても全ての指名に対応というわけではなく、作業者は別でアートディレクションのみ、ということもありました。

僕も指名でのお仕事が半分くらいで、主に女優単体モノ(1人の女優さんのみで構成されるキレイめ系の作品)の依頼が多かったです。

デザインはモザイクがけから始まる

いざジャケットのデザイン!!の前に、まずは使用する写真素材ほぼ全てにモザイクがけ等を行う加工処理を事前に行います。

事前に行っておく加工処理
・性器へのモザイク(この時点では少し薄めにかける)
・看板など固有名詞を伴う表記にブラー(ぼかし)加工
・映ってはいけない方たちへの目線orブラー処理

モザイクは歴の浅い新卒がひとまとめにかけることが多いのですが、基本的にジャケットの担当者がかけます(先輩後輩はあまり関係ない)

あとのせモザイク

写真のサイズ・レイアウトが決まったら、使用した写真にかかっているモザイクを再度チェックします。

レイアウトによっては写真を縮小したことにより、モザイクがモザイクの意味を成さなくなってしまうことがあるため、モザイクをかけ直すためです。

昔noteに書いた「モザイクのレタッチ」をするというのもこの時に行います。

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モザイク審査、倫理審査がある

ここが通常の印刷系デザインと大きく違うところです。
AVジャケットのデザインにはモザイク、倫理審査があります。

モザイクには媒体によって濃さや表示領域に基準があります。
その基準を以て「この商品は売り物として問題がないか」をチェックしている審査団体、というのがあります(法人としてアダルトDVDの販売を行う場合、原則としてこの審査団体に加盟する必要があります)

そのため、デザインが確定した時点で、審査団体にデザインデータを確認してもらう必要があります。
この時点でモザイクが薄かったり、倫理を損なう内容(特定の団体を示す内容 等)があった場合、修正・変更指示をいただき、これに従います。

倫理を損なう内容がジャケットのデザイン以前に企画内容に及んでしまった場合、最悪の場合は販売中止になります。僕も何回か遭遇していまして、手間暇かけて作ったデザインがゴミクズになったことがあります。。。

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「レタッチの有無」は状況によって変わる

レタッチはデザイナーがやることも、専門のレタッチャーさんが行うこともあります。
自分の場合はレタッチャーがやることはほとんどなく、デザイナー一任ということでした。この場合、修正や仕上げの段階でレタッチを施します。
表1だけレタッチャーさんにお願いするといったこともあります。


色校では「肌色」をチェックする

実際に使用する用紙に出力した際の色味をチェックする「色校正」ですが、AVジャケットの場合は、特に「肌色」を中心にチェックをします。

AVジャケットという性質上、ジャケットには全裸の男女がたくさん写っている状態が多いため、必然的に肌色が多くなります。
この肌色のうつりが悪いだけでジャケット全体がくすんで見えてしまうため、肌色やそのまわりの色味などをチェックし、変更・要望点などがあれば印刷会社さんに連絡し、補正をしていただいたり、印刷で限界が出てしまった場合はデザインデータ上で補正を行います。

特色・加工もチェック

当時のAVジャケットは蛍光ピンクに、銀白・金箔でひたすらキラキラしたデザインが主流だったため、色校正で特色や箔押しのチェックも行います。

特色一色であればそこまで大きな問題ではありませんが、特色の上に通常色を重ねて色付けをするといったこともあるため、こういった特殊なデザインや何回な箔押しなどを行った際は念入りにチェックします。


AVジャケットは「チェック工程」が多いかも

現在はIT企業に務めつつ、個人でも印刷系のデザインのご依頼もいただいたりしていますが、AVジャケットのデザインを行っていた時の違いとして、チェックの工程が圧倒的に多いということです。

モザイクチェック、倫理チェック、プライバシーチェック、文字チェック、色校時での文字チェックなど、チェック項目の量もフェイズも多く感じました(ゴリゴリの印刷業務までは行ったことはないので、確証があるわけではありませんが...)

おかげで、デザインや仕事の時のリスクチェックでは色んな観点から見ることができるようになったと思います(もしかして:神経質)

結果、様々な印刷工程の知識は増えた

ともあれ、AV業界でのAVジャケットのデザインは特色や箔押しの知識や、校正チェックの工程や打ち合わせ、度重なる修正記事、「"なるはや"っていつです?」と依頼主に平然と言い放てるくらいの胆力を身につけることができ、色々と勉強になりました!

「印刷の知識ならAVジャケットのデザインが良いよ!」と勧めるわけではないですが、もしAVジャケットを手に取る時は今回書いたようなプロセスを経て形になった事を少しでも思い出していただけると嬉しいですm(_ _)m




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