「世界一即戦力な男」に「アダルトビデオのデザイン」についてインタビューされた話
2015年の12月頃、
株式会社LIGさんに「アダルト業界のデザイナーについて」インタビューをしていただきました。
本noteでは、インタビューをしていただくまでの経緯や記事の補足などを書いていきたいと思います。
お声がけのきっかけは、SOD時代にお世話になった先輩さんの友人さんが当時LIGのディレクターさんで、
LIG内で「アダルト系のバナーを作成している人」がいるとのことでディレクターさん経由でお繋ぎいただくことになりました。
インタビュアーは「世界一即戦力な男」だった
ディレクターさん経由だったので、インタビュアーもそのままなのかな〜と思っていたら、実際は当時LIGに所属されていた菊池良さん(@kossetsu)でした。
現在は作家として活動されている菊池さんですが、当時はLIGで「世界一即戦力な男」として活動されていました。
世界一即戦力な男 特設サイトや、当時書かれている記事をご覧になればわかる通り、独特な世界観をお持ちの菊池さんですが、
実際にお会いした時も、記事の世界観そのままの独特な雰囲気を持つ方でした。
研修のくだりについて
─ 実際に入ってみたら、どうでした?
==(略)==
あと研修がちゃんとしていました。入社3日目にはJALのマナー研修があって。やっぱりどうしても世間に厳しく見られる業界なので、マナーや言葉遣いはきちんとしろ、という会社の意思がありましたね。
(インタビュー記事より)
インタビュー中に一番驚かれたのが、入社1年目の研修の内容です。
・花見の仕切り
・座学系研修(会社の成り立ちなど)
・JALマナー研修
・DVDプレス工場見学@千葉
・山奥での社外研修(山に竹で階段を作る)
・AV現場でのAD研修
・社内運動会の仕切り
この研修内容を入社した4月から7月まで行いました。
気持ち座学が少ないかもしれないです。現場主義。
この中でも一番きつかったのが、花見研修からの山奥社外研修。
花見研修は、新入社員たちが社員の方やその取引先の方々いらっしゃる花見会を取り仕切りをします。
日中は通常の研修、夜は花見の準備が1週間続きます。
今となっては大きい声では言えませんが、帰宅はだいたい24時前後。
しかも、本番となる花見会の翌日は大学行事の登壇が控えていて、
帰宅後にスライドを作る上に初の一人暮らしで見事にしくじり、ベッド無し生活というハードモードと化していました笑
パッケージデザインの方針について
─ デザインの方針は誰が決めているんですか?
プロデューサーですね。女優さんをどう撮るかは決まっていて、それを「こういうイメージで」というのを話すので、それを咀嚼して3案ぐらい出して決めます。
プロデューサー以外にも、ディレクター(いやゆるAV監督)が行うこともあります。
業界上、プロデューサーとディレクターを兼務していることもあります。
デザイナーは決定した方向性でより良く魅せるにはどういった手段をとるか、がメインの業務になります。
特に「企画モノ」は既に内容が決まっていたり、シリーズで続いているものも多いので、変にデザイナーが主張する、ということはあんまり無いかも。
強いて言うと、新人デビューの場合はプロデューサーが写真を見ながらデザイナーからの意見を聞きたい、ということもあります。
「クライアントからの無茶な要求」のくだり
─ ネットだと「後ろを向いている車を前に向かせてほしい」というようなクライアントからの無茶な要求話を聞きますが、そういうのはありましたか?うーん(言いにくそうに)。
「BカップをFカップにしてくれ」というものはありました。
キャスティングミスで、巨乳モノなのにBカップの子がきたんです。でも、「やっぱりなしで」というわけにもいかないので、そのまま撮ったんです。
デザイン的なバランスはとれましたが、違和感はありましたね。
(インタビュー記事より)
ここでうーんと唸っていますが、言いにくいのではなく無茶な要求が多すぎて何を話そうか迷っているのが本音です 笑
当時は無茶な要求しかない中で働いていたので、どれが大変かわからなくなっているかも。。。
とはいえ、AVのパッケージに限らず、印刷のデザインでは合成加工はよくあることなので、そのくらいのテンションでお話しています。
アダルト系デザイナーになりたい人へのメッセージ
─ 最後に、これからアダルト系デザイナーになりたいという人にメッセージをお願いします。
とりあえず大前提として下心でエントリーするな、あったとしてもそれを補えるぐらいのポリシーや考え方を持て、と。「アダルトだからってバカにするな」みたいな気概ですね。
(インタビュー記事より)
第1希望で入るなら大丈夫だと思うんです。
何か確固たるポリシーを何かしら持っていると思うので。
第2、第3希望くらいの滑り止めとかネタとかで入るなら他の業界に行ったほうがいい。
生半可な気持ちでやれるほど、実際甘くなかったです。
AV業界に入ったのは「最速で確固たる”デザイナー”という肩書を得るにはどうすれば良いか」という、デザイナーを自身の職にしていくことに対して、課題感を持っていた当時の僕なりの解です。
就職活動をしていた時、当時の僕では、いわゆる「電博(電通・博報堂)」のような一流企業のデザイナーになることは不可能と考えていたし、実際に不可能でした。
こうなると、当時の手段は「制作会社やデザイン事務所で”アシスタントデザイナー”から始めでデザイナーを目指す」こと。
しかし、これは当時の僕のスキルでは4〜5年のアシスタントデザイナーの期間が起きて、出遅れてしまうと感じていました。
であれば、「アシスタント止まりではない、最短でデザイナーになることが出来る環境はどこか」で、今の会社に入社する決意をした所存です。
「修行と実務」も兼ねてのアダルト業界のデザイナーという、当時の選択でした。
僕の「狙い」が実ったきっかけ
「当時の僕の最適解」とだけ言えば聞こえは良いですが、
「アダルト業界のデザイナーになったということは「ネタ」として使えるのではないか?」という、もうひとつの狙いもありました。
在籍中は忙殺されまくって、「ネタ」をうまく活かすことができませんでしたが、
転職後に過去のお話としても、こうやってLIGさんに取り上げていただいたり、4〜5年経った今でも、お声がけいただくことがあるので、狙いが実って良かったなぁと思います。
余談ですが、編集元のブログ記事を再編集してnoteに公開しているのですが、当時の「書く力」よわよわすぎて笑いました。
成長したな自分…。
ではでは〜。
こちらの記事は montblan9.net に2016/1/6に投稿した記事を再編集していたはずですが、ほぼ新規記事みたいになりました。