男女でちがう「AVのデザイン」
元アダルト業界のデザイナーという中でも、更にマイノリティな箇所として女性向けアダルトのデザインにも経験、というのがある。
これはジャケットではなくWebサイトが中心なのだが、バナーはサイト作成を通したり、監督さんや先輩デザイナーさんとのやり取りを通して様々な事を学ばせてもらった。
男性向けAVと女性向けAVの明確な違い
結論から言うと
男性向けAVは「点」、
女性向けAVは「線」
ということ。
一般的なAVは単独、または複数の演者さんで、4~5コーナーを1本の映像としてまとめることが多い。
これ自体は男性向けも女性向けの一緒なのだけど、中身の構成やジャケットや販促での見せ方がちょっと変わってくる。
男性は点。点でのインパクト。
男性のAVあるあるだと思うけど、AVを見る時に無駄なストーリーパートを一気にすっ飛ばして、コトが始まりだした所もしくはもう始まりきって盛り上がりMAXの所まで早送りやチャプターを切り替えてしまう人、多いと思う。
これが男性向けAVの特徴。
男性向けは映像やデザインでも、その作品やパートの肝をしっかりと描写するのを重点に置いたり「今回の作品はこのくらいの人が出演してこんなスゴいことやってるよ!」という、いわば機能オシなのだ。
女性向けは「行為におよぶまで」が大事。
一方、女性向けAVでは男性向けと違って、機能オシではない。
女性向けの場合は、ポイントよりシチュエーションに重きを置くことが多い。
「男女がどういった出会いでどういった道を経て行為に及んだのか、そしてその後は…?」が中心になる。
そのためなのか、出演者達の関係性や出会いなのが販促ページに掲載されることが多い。
ジャケットのお手伝いをした際に感じていた、男性向けに比べて「相関図」のデザインや配置が多いこともそれなのだと思う。
モザイクがない
AVジャケットの上で男女での訴求の違いを知る、モザイクの数もわかりやすい。
男性向けは、エロさだったり、要所でのインパクト重視になるので、局部の描写(=モザイク)を大々的に推す形に。
これに対し女性向けは、俳優さんの顔やシチュエーションを重きに置くので、必然的にヒキの写真や顔のヨリが多くなり、モザイクの利用が少なく、極論モザイクがない。
(実際に女性向けの制作の場合、モザイクをかける作業が男性に比べて圧倒的に少ない)
ターゲティングでここまで変わる
まとめ
・男性向けは点、女性向けは線
・男性向けはエロさ、インパクト重視
・女性向けはストーリー、シチュ重視
・モザイクの量にも現れる
ざっくりまとめるとこんな感じ。
同じAVですが、訴求やターゲティングで映像やコンテンツが変わるのはもちろんのこと、デザイン性もここまで変化します。(性別単位なので当たり前だけど)
ananでも毎年セックス特集で取り上げられる女性向けアダルトコンテンツですが、知名度や理解度はまだまだ小さいので、こういった機会で広く知られると良いな〜と淡く思っていたりしますb
今はノンアダルトの業界で働いていますが、この男性と女性での思考の違いは、今の仕事でも結構活きています。
飼っている猫さんやインプットのための読書代などに使います!