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デザイナーのAV撮影研修Ⅰ【擬似撮影編】

久々にAV業界にいた頃の話をしたいと思います(2010年頃の現場の話なので、今の現場とはもっと違うかも)

こちらはかなり長いお話になるので、3つのnoteに分けて書きたいと思います。

AV撮影研修Ⅰ:擬似撮影編
AV撮影研修Ⅱ:本番ロケ編
AV撮影研修Ⅲ:ADA編

今回は入社して1ヶ月後ほどに実施されたアダルトビデオの制作会社の研修「擬似撮影」についてお話したいと思います。

当時のソフト・オン・デマンドグループグループ(ソフト・オン・デマンド株式会社、SODクリエイト株式会社、SODアートワークス株式会社の3社+α)の新入社員研修のひとつとしてADに限らず、営業やデザイナーもAVの撮影現場に入る、という研修でした。


「擬似撮影」とは

その名の通り、擬似的な撮影のことで、実際の撮影ではなく、新入社員ために設定されたAV撮影です。
疑似の撮影ですが、女優さんと男優さんは本物、撮影カメラマン兼監督、ADさんも実際の現場に入っている方々です。今思うとめっちゃ至れり尽くせりの研修…っ!

そこで、ほぼ終日をかけて1シーンの撮影を行います。次回のnoteに書く予定ですが、新人が現場に入るという点、また現場で撮影する観点上、1日でワンシーンのみというのはかなりのスローペースです。


撮影の準備

本来は前日か早朝からの準備になるのですが、この研修では朝8:00に集合となっていました。
付き添いのADさんと一緒に必要なモノを準備していきます。

◆準備するもの
- バスタオル
- ティッシュ&トイレットペーパー
- 下着
- 2種類のローション(粘度が違うもの)
- ガムテープ
- 養生テープ(バミり用)
- トレーシングペーパー
- コンドーム(薄さを分けて小分けに準備)
- ビニールテープ
- 軍手
- 照明
- お菓子、飲み物とストロー

※あくまで新入社員が用意するものというだけで、他にも色々小道具がある

こんな感じだった気がします。

カメラや三脚は撮影で最も大事な機材なので、ADさんが持っていました。


現場へ移動

研修生が20人、ハイエース2台と乗用車数台で撮影現場となるハウススタジオに移動。
機材より人が多いのは珍しい、とADさんか言っていた記憶があります。


撮影準備

ハウススタジオは確か2階建ての1階を借りての撮影だったはず。

女優さん、男優さんが到着する2時間前、たしか9時頃。
到着してすぐに撮影の準備を開始。人数が多かったので、準備にはそこまで時間はかからず、演者さんが到着するまで、今日の撮影内容や撮影時の注意などのレクチャーを受けます。

この時、特に印象が強かったのは「ツナギ」

ツナギというのは、準備物にあるお菓子や飲み物のこと。撮影の合間に演者さん、スタッフがパパっと食べることができるもの。
アソートパックなどの個包装のお菓子などを大きめなお皿に入れておき、みんなでつまめるようにしておきます。

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男優さん、女優さんが到着

ほどなくして男優さんが到着(男優さんは撮影時の立ち回りが大事らしく、結構早くに到着されることが多いです)

その30分後に、女優さんが到着。
監督さんが女優さんと軽く打ち合わせして、研修生ともご挨拶していただきました。

(後から思ったんですが、本来は現場に女優さんだけというのは珍しく、マネージャーさんやメイクさんもご一緒することが多いのですが、ひょっとすると別の場所で準備&待機されてたのかもしれません)


撮影開始

いよいよ撮影開始。各々の配置につきます。

研修生はざっくり「監督補佐」「男優さんサポート」「女優さんケア」の3つのグループに分かれました。

◆監督補佐
カメラマンとしての監督のサポートをします。当時は電源を有線でつなぐカメラを使用していたので、ケーブルのすれる音が入らないようにゲーブルを抱えたり、監督が撮影に必要だけど、姿勢を保てない時などの支えになったりします。

◆男優サポート
男優さんが手で指示したことに瞬時な反応します。例えばコンドームやはさみなどを手を差し伸べてきた時に持ちやすいように渡します。

◆女優さんケア
カットが入る毎に女優さんに寄り添い、水を渡したり必要なものを持ってきます。ここには主に女性の研修生が担当していました。

ちなみに撮影現場はこんな感じ

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普段、映像だと女優さんと男優さんしか映ってないので気にしませんでしたが、まわりはこんな感じになっていました(研修なので人はさらに多い)

シーンの詳細は研修に必死であまり覚えてないのですか、男優さん、女優さんがソファで腰掛けてキス→前戯→ベットに移動して本番、という進行だったと思います。


現場の雰囲気

ちなみにこの話をした後によく「こういった撮影現場で元気にならないの?」って聞かれることがあるんですが、

結論から言うと、ならないです。
そういう雰囲気ではないです。

これには2つ理由があって、ひとつは僕は撮影現場のほとんどをAD(アシスタントディレクター)かAD(アートディレクター)としか入っていないため、絡んでいる現場を主観的に見ていません。

アシスタントディレクターの場合、目まぐるしく現場が動くのでその気持ちになっている暇なんてないし、アートディレクターの場合は「この絡みをジャケットに表現する時にどうするか」という第三者視点で見るのでほとんどないです。
たぶん、現場に入っている人でそうなる人は率直に言うと「気が抜けている人」です。

実際、撮影現場では撮影中は息をひそめて、服の擦れる音がしないように、肉と肉がぶつかる音を聞きながら、お2人方のカラミを静かに見守っていました。

補足ですが、たまに監督が元気になっているというエピソードとかありますが、これは正常です。
ある意味、監督が最もユーザー目線に立っている状況だと思うので。


「コンドーム渡し」のソリューション

3つのグループに分かれた中で、僕は監督補佐と男優サポートをやりました。

印象に残っているのは、男優さんにコンドームをお渡しする時でした。

前戯から本番に移る際に、男優さんはカメラから外れた数秒でコンドームを装着するのですが、男優さんがコンドームをすぐに手に取れるように、ADはコンドームを真ん中から割り、割れ目が広がった状態で男優さんの方の手元に近づけます。

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こうすることで、渡す側の手に一切触れずに、受け取る側のストレスなく渡すことがことができます。

日常生活にほとんど役にたちませんが、非常にスムーズなコンドームを渡すソリューション(解決法)に「すげぇ…」と感心してしまいました。

ちなみに、上の図のようなパカッと渡す以外で、真ん中から横に向けてビリッと破るのは、低確率ではありますがコンドーム自体が損傷、最悪の場合は敗れてしまうので、普段はちゃんとハジの方から開けてくださいね。


「カラミ」の様子

※前戯や本番など、行為の撮影のことを「カラミ」と呼びます。

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